ものづくりスクエアー

ものづくり大好きな人のために送る「困った」時の私のノウハウと、私が購入したもののリアルな感想などの雑記ブログです

【機械設計】問題を解決できないときのブレイクスルーについて①

こんにちは、ボビーです。

今回は、私が過去に設計をした案件で、このようなブレイクスルーにより問題を解決したというケースをお伝えします。

  問題解決のブレイクスルーとは

「ブレイクスルー」とは、「一般にそれまで障壁となっていた事象の突破を意味する英単語」です。(Wikipediaより引用)

既存の装置・技術では仕様を満たさない場合、何かしらのブレイクスルーが必要になります。

但し、全く世の中に無いものを1から作り出すことは、研究職でもない限りまれです。

ただ、私が過去に設計した案件で、世の中にあるものをありえない使い方をして問題を解決したケースがありますので、それを今回はお伝えします。

特許や会社の機密情報になるため、残念ながら詳細はお伝えできないのですが、開示可能な範囲で私が実際に設計した例を挙げます。

 メーカーの言うことを鵜呑みにしないで自分で考える

ある案件でお客様からご要望をお聞きして調査をした所、目的に合った専用の装置が世の中にありました。
但し1000万円以上と高価で、一般的には受け容れられない価格のため、その装置自体も全く売れていませんでした。

今回の案件でもコスト的に採用は困難でした。

但し、その装置の役割・効果は優れたものだったため、それを市販の別の目的の装置を使って出来ないか考え、全く目的が違う100万円前後の装置を使うことを思いつきました。

やり方は1000万円の装置と全く違うのですが、装置を使った最終結果を同じにすることができる方法を思いついたのです。

もちろん特許等に抵触しないよう事前調査をしておきました。
通常は私が考えた使い方はメーカーの取扱説明書ではしてはいけないことになっていましたが、メーカーの営業担当者には具体的な内容を知らせずに、メーカーのテストラボで装置をお借りして、あらかじめ用意した部品を持ち込んでテストをしました。
結果、何とかなりそうな結果が出たので実際に装置を1台購入して社内でテストを続けました。

製品化までの道のりは思った以上に長かった!

用意周到に進めていたため、実は機能的にはテストを社内で始めてすぐに目的を達成できたのですが、連続テスト中に装置がアラームを頻発して止まり、とても連続運転に耐えるものではありませんでした。

これは、取扱説明書に「してはいけないこと」として載っていることをしているからではありましたが。。。

何をどのようにしても解決ができず、最終的にメーカーを巻き込むしかなくなり、目的をメーカーの営業担当に話をしました。
営業担当の方には「その使い方は取扱説明書にある通りしてはいけないことなので協力はできない」と想定通りのことを言われました。
しかし、自分が考えた理屈に自信があった私は、技術の方を呼んで頂き、私が考えている内容と何故実現出来ると思っているかの説明をしたのです。
技術の方には私の説明が理屈に合っていることを納得頂き、協力を得ることができました。

メーカーの協力を得て商品化

そのため、技術の方の協力を得て、どうしたら解決するかを検討頂けました。

その結果、通常は購入ユーザーで変更が出来ない装置の内部回路を変えることで、アラームを出さず、装置を壊すこともなく、無事に機能を果たす事が出来ました。
開発した装置は特許も出願し、お客様に満足いただき、予想通りヒット商品になりました。

文字で書くとすぐに思えますが、着手してから商品化まで半年掛かりました。

もう1つのポイントとは?

この話にはもう一つポイントがあります。
この装置を開発して販売してからもう十数年経ちます。

改良を重ねて、今も世界中で売れています。
しかも世界のライバルメーカーや中国のコピーメーカーがある中で、未だに同じ機能の装置が販売された事がありません。

(他の装置はコピー装置が大量に販売されることもある)
特許を出願したことだけがその理由ではありません。
上でも書いた通り、市販されている装置を使っているものの、そのままでは同じ機能を発揮できず、機能を発揮するためには装置の回路を改造する必要があります
ただ、これは外から見ても、例え購入したとしてもその秘密はわからないのです。

この真似されない「ブラックボックス化」が重要です。

簡単に見よう見まねで出来てしまう装置では世界で差別化出来ません。

外から見えない何かがあることで真似をされない息の長い製品になるのです。

この話の教訓は?

教訓として、上にも書きました通り、「メーカーの言うことを鵜呑みにしないで自分で考えること」です。

例えメーカーの技術者であっても、想定していないことに関してはユーザーと同じシロウトです。
メーカーに云われたからと言って必ずしも諦める必要はありません。
自分で諦めずに理論的に考えたからこそ、価格約十分の1で新しい世の中に無い装置を作ることができたのです。
ついでに、世界で通用する息の長い製品にするには、ブラックボックス化が必要と言うことを覚えておいてください。

それでは、また!

 

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