【機械設計】エアシリンダの使い方について (寿命を長くするためには)その1
こんにちは、ボビーです。
圧縮エアを供給することで仕事をするエアシリンダーはモーターとともに生産設備や一般装置のアクチュエータ(駆動機器)として使われています。
今回はこのエアシリンダーを設計者として長持ちさせるポイントをお伝えしたいと思います。
(注)マンガ図が無くてすみません。今週末にマンガ図を追加しますので、文章だけで分かりにくい場合、週明けにでももう一度お読みください。
2020年9月11日
マンガ図追加
エアシリンダの寿命とは何でしょう?
まず第一にエアシリンダの寿命とは何でしょうか?
ズバリ、ピストンパッキンが擦り減り、ピストンがシリンダ内部を削ってしまい、エア漏れを起こす状態です。
エア漏れをしているとシリンダは必要な力を出すことが出来ず、交換するしかありません。
では、その原因を解決するためにはどうすればいいかを見ていきましょう。
(1)ピストンロッドに横荷重を掛けないこと
これが最大のポイントです。
ピストンロッドに横荷重を掛けると、それが例えエアシリンダのスペック上で許容範囲内であっても、確実にシリンダ上部のピストンパッキン(ピストンからのエア漏れを防ぐ)を摩耗します。
ピストンパッキンはゴム製か金属製なので擦れることで摩耗するのです。
横荷重が掛らない様にするには具体的に次の方法があります。
(1-1)シリンダジョイント(フローティングジョイント)をロッドに付ける
(1-2)シリンダロッドに直接駆動する物を取り付けない。フローティング構造にする
(1-3)シリンダジョイントを付けた上で、シリンダで駆動するものに直動ガイドを付ける。
などの方法があります。
(2)引き仕事にする
おそらくメーカーのカタログやWebにもこのような注意書きはありませんがこれも重要です。
シリンダは通常、押し側でも引き側でもどちらでも仕事が出来ます。
また、普通の複動シリンダの場合、ピストンの断面積が大きい押し仕事の方が推力が大きいです。
そのため、押し仕事前提でシリンダを選んでしまいがちです。
ところが、シリンダは引き仕事の方が寿命を長く出来るのです!
(1)を思い出してください。
シリンダに良くないのは横荷重でしたね。
押し仕事の場合、仕事をし終わった位置は、ピストンが一番出っ張った所になります。
ピストン先端に力が掛かった場合、シリンダのピストンパッキンにはどちらの場合が大きな力(モーメント)が掛かるかを考えれば解ると思います。
(3)適切なサイズを選定する
モーターやシリンダーは大は小を兼ねることはできますが、それは次の理由でお勧めできません。
シリンダの径(サイズ)が大き過ぎるとユーザーが間違ってエアの圧力を高く設定したときに、想定外の力で装置を破壊したり、有ってはいけませんが万が一の時の人の怪我の度合いが大きくなります。
適切なサイズを選定しましょう。
逆にシリンダの径が小さ過ぎると、設計上の設定エア圧が高くなります。
その様な使い方をすると、ピストンのストロークエンドのクッションが早く傷み、パッキンの摩耗も進むため、エアシリンダの寿命が短くなります。
エアシリンダの必要な速度と力を正しく計算して選定しましょう。
通常シリンダの選定には、シリンダで動かしたいものの質量と動かしたい速度が必要です。
選定方法は各メーカーのカタログに載っていますので、しっかり読んで適切なものを選定ください。
それが省エネにも繋がります。
私も設計をはじめて間もない頃、エアシリンダを推力だけで選定して、必要な速度が出なくて失敗した事がありました。
第2回に続く。。。