【機械設計】大手メーカーとて設計ミスはあり!その場合のやり取りについて。
こんちには、ボビーです。
いつも私の失敗談ばかりなので、たまには武勇伝(?)もお伝えしたいと思います。(笑)
購入した減速機でトラブルが!
ある日本の大手減速機メーカーが、これまでより大容量のサーボモーターに対応した減速機を新発売しました。
営業さんの売り込みがあり、老舗の減速機メーカーよりコストが安く、納期も早かったため、すぐにうちの機械で採用しました。
しかし、出荷して数か月後に客先でトラブルが発生。
しばらく使うと、減速機からオイル漏れをし、それに続いて異音が発生していました。
メーカーに任せられないなら自分で確認する
直ぐにメーカーにも連絡したものの、原因がメーカーでも不明と言われたので、任せっぱなしでは解決出来ないと判断。
すぐに独自に社内で最大負荷で連続運転する装置を作って再現&加速テストを行いました。
数日後、連続運転していると減速機の発熱が異常なことに気が付いたのです。
減速機内のギヤの発熱による膨張で、ギヤに最低限必要なクリアランスが不足して、さらに発熱がひどくなる悪循環だと予想できました。
ギヤの膨張により、行き場のないグリスが減速機のパッキンからはみ出て押し出されていたのが目で見てわかりました。
また、グリスが出ていくことで、ゆくゆくは潤滑不足にもなると考えられました。
メーカーに連絡をしてみたら
営業担当さんに段取りしていただき、メーカーに出向いて開発担当者と責任者に熱膨張に対するクリアランス不足の疑いが濃厚であることを説明しました。
自社での検証では何も掴めていなかったメーカーさんにも納得のいく説明だったようで、後日私もメーカーのテストに立ち会い実証することになりました。
クリアランスを広げた内部ギヤを急遽組み込んだ試作品でテストしたところ、上昇温度が許容範囲内になったのです。
やはり問題はそこにあった!
テストに立ち会った翌日、メーカーから連絡が来て、
設計資料を見直した結果、ギヤ同士のクリアランスを、径が小さな今まで通りのギヤと同じままで設計していたことが判明したのです。
当然、熱膨張量=必要なクリアランス、は最低でもギヤの直径(大きさ)に比例する必要があります。
ギヤの直径に適切なクリアランスに変更することでトラブルを根本的に解消できたそうです。
当然、私の会社から出荷した機械の全ての減速機は無償で対策品に交換いただきました。
(客先での交換作業自体はこれはこれで大変でした。。。)
今日の教訓!
どんな大手メーカーでも間違いはあります。
車メーカーのリコールがそのいい例でしょう。
リコールというのは設計ミスか製造上のミスです。
自分の設計に自信があるのに上手く行かない場合、使っている購入部品を疑うことも必要。
メーカーの製品だからとメーカーに任せっぱなしにはしないことです。
また、もう1点教訓があります。
今回のケースでは、私が社内で仮説を立てた時も、上司は「大手メーカーがそんなミスするか?」と言っていました。
それに対する私の回答は、自社での再現テストでした。
社内で再現テストをした所、私の意見に異論を唱える人は誰もいなくなりました。
機械屋は現物・現場を重視するべきです。
イメージや想像で主張はせず、結果で主張をすればいいのです。
なお、今回、大手メーカーの責任者の方が話の分かる方ですんなり解決できてよかったです。
このようなことは、実は1度や2度ではありません。
また、機会があれば書こうと思いますが、ある大手メーカーの商品の設計ミスの時は、こちらの主張を一切受け付けず、後日、自分たちが自ら改良したかのようにこちらの主張を取り入れた新製品を発表するところもあるのです。
当たり前のことですが、あなたがお客さんであっても、上から目線で責任をなすり付けたり、期限を切って無理やり解決させるような行動は慎み、お互いに上手く解決するように協力することが重要です。
今回は、大手メーカーが販売している商品にも設計ミスはあり得ることをお伝えしました。
では、また!